
マイホームを売って損が出たら税金はどうなる?譲渡損失の損益通算・繰越控除を解説
作成・情報確認日:2026年9月30日
「買ったときより安く売ることになりそう。税金はどうなる?」
マイホームの売却で損失が出たとき、一定の条件を満たせば、給与所得などとの損益通算や翌年以後の繰越控除を利用できる場合があります。ただし、購入価格と売却価格の差額だけでは判断できません。
この記事では、税務上の損失の計算と、買換えをする場合・住宅ローンが残る場合の二つの特例を分けて整理します。個別の税務判断は税務署・税理士へご確認ください。
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まず「購入価格との差額」と「譲渡損失」を分ける
譲渡所得の基本は、売却による収入から、取得費と譲渡費用を差し引いて考えます。この計算で生じる損失と、住宅ローン返済後の資金不足は別のものです。
売却価格 − 取得費 − 譲渡費用
取得費には購入代金や購入時の手数料などが関係します。建物は、購入代金等から所有中の減価償却費相当額を差し引くため、当初の購入額をそのまま使いません。譲渡費用も、売るために直接かかった費用かを確認します。
たとえば「5,000万円で買い、4,000万円で売る」という情報だけでは、税務上の損失が1,000万円とはいえません。土地と建物の内訳、取得時・売却時の費用が分かる契約書や領収書をそろえましょう。
損益通算・繰越控除とは?
損益通算は、対象となる損失を給与所得や事業所得など他の所得から差し引く仕組みです。繰越控除は、その年に控除しきれない対象損失を、後の年の所得から差し引く仕組みです。
ここで扱う二つのマイホーム特例では、繰越期間は売却した年の翌年以後3年内です。売却損が出れば自動的に利用できる制度ではなく、条件の確認と確定申告が必要です。
二つの特例は「買換え」と「残債」で分けて確認
| 特例 | 最初に確認すること |
|---|---|
| 買換え型 国税庁 No.3370 | 新居の取得・入居時期、床面積、新居の住宅ローン |
| 住宅ローン残債型 国税庁 No.3390 | 旧居のローン残高と売却価格。新居を取得しない場合も対象になり得る |
2026年9月30日に確認した国税庁の案内では、いずれも対象となる譲渡期限は2027年12月31日です。以下は主な条件であり、すべての要件を列挙したものではありません。
買換え型:新居の条件も確認する
- 国内の対象住宅を売却し、売却年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること。
- 新居を、売却年の前年1月1日から翌年12月31日までに取得すること。
- 新居は国内にあり、居住用部分の床面積が50㎡以上であること。
- 取得した翌年12月31日までに新居へ入居する、またはその見込みがあること。
- 新居の取得年末に、償還期間10年以上の対象住宅ローンがあること。
以前住んでいた家を売る場合にも期限があります。また、新築未使用の新居へ2028年以降に入居する場合等には、一定の災害危険区域等に関する除外条件にも注意が必要です。住所や取得・入居予定日を整理して確認しましょう。
住宅ローン残債型:買換えがなくても確認できる
売却年の1月1日時点で所有期間が5年を超える対象住宅について、売買契約日の前日に償還期間10年以上の住宅ローンがあり、売却価格がその残高より低いことなどが条件です。
税務上の譲渡損失があっても、対象額には上限があります。売買契約日前日の住宅ローン残高から売却価格を引いた額が損益通算の限度となるため、損失全額を控除できるとは限りません。
残債を確認するときは「現在の残高」だけでなく、税務上必要な基準日の証明書等を金融機関へ確認してください。
所得・ほかの特例・住宅ローン控除との関係
両制度とも、繰越控除は合計所得金額が3,000万円を超える年には適用されません。買換え型では、繰越控除を受ける年末の新居のローンや、旧居の敷地が500㎡を超える部分の扱いも確認が必要です。
親子・夫婦など特別な関係のある相手への売却や、過去に使った特例によって対象外となる場合があります。売却年の前年・前々年に3,000万円特別控除などを使っていないか、別の譲渡損失特例の利用歴がないかも伝えましょう。二つの損失特例を自由に重ねて使えるわけではありません。
一方、国税庁は両制度について住宅ローン控除との併用が可能と案内しています。ただし、住宅ローン控除側も含め、それぞれの適用条件を満たす必要があります。「売却特例は全部併用不可」「全部使える」と、まとめて判断しないことが大切です。
確定申告の前にそろえたい資料
特例の利用には確定申告が必要です。繰越控除には、損失が出た年の期限内申告や、その後の連続した申告などの手続き要件があります。必要書類は選ぶ制度・取得時期等によって異なるため、税務署・税理士に早めに確認してください。
- 購入時・売却時の契約書、費用の領収書
- 所有期間、床面積、居住状況を確認できる資料
- 住宅ローンの残高・償還期間が分かる資料
- 新居の取得・入居予定と、過去の特例利用が分かる申告書等
まとめ:税務確認と住み替え資金の整理を分けて進める
購入価格より安く売れそうでも、その差額だけで税務上の損失や控除額は決まりません。まず資料をそろえ、二つの制度のどちらを検討するのか確認しましょう。
税金の見込みが確定する前から還付等を購入資金に組み込まず、売却費用とローン返済後に残る資金、次の住まいに必要な費用を分けて計画すると、相談すべき点が明確になります。
出典・参考資料
国税庁の以下の資料を2026年9月30日に確認しました。各ページの法令等基準日は2026年4月1日です。制度の詳細・適用除外・申告書類は原文をご確認ください。
- No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)
- No.3261 建物の取得費の計算
- No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき
- No.3375 特例の対象となる「譲渡資産」及び「買換資産」とは
- No.3379 特例を受けるための申告手続と添付書類等
- No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき
売却価格と住み替え資金のご相談
「売却した場合の価格と住み替え資金を整理したい」という段階からご相談ください。売却価格の見込み、ローン残債、売却費用、希望時期を整理し、次の住まいに向けた資金計画を一緒に考えます。
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