
相続人申告登記をした家は、そのまま売れる?相続登記との違いと売却前の確認
「相続人申告登記は済ませたので、実家を売る準備も整ったはず」。
そう思ったときに、確認しておきたいことがあります。
相続人申告登記をしただけで、売却に必要な相続登記まで済んだことにはなりません。
相続した不動産を売却する場合には、別途、相続登記が必要です。
まずは、済ませた手続きの名前と、現在の登記の内容を確認しましょう。この記事では、制度の細かな申請方法ではなく、売却相談へ進む前に整理したいポイントを紹介します。
相続人申告登記と、相続登記の違い
相続人申告登記は、不動産の登記名義人について相続が始まったことと、自分がその相続人であることを申し出る制度です。相続登記の申請義務を簡易に履行するための仕組みで、不動産の権利関係を公示するものではありません。
一方、相続による所有権移転の登記では、相続により誰が不動産の所有権を取得したかを登記に反映します。「相続人であることの申出」と「所有権移転の登記」を分けて考えると、次に確認することが見えてきます。
法務省の案内でも、相続人申告登記の後に不動産を売却する場合には、別途、相続登記が必要とされています。申告を済ませたことだけで、残りの手続きがないと判断しないようにしましょう。
1.手元の書類で「何を済ませたか」を確認する
「登記は済んでいる」と聞いていても、手続き名が分からないことがあります。申出や申請の控え、法務局から届いた書類、依頼した司法書士からの案内などを確認してみてください。
- 書類に記載されている手続き名
- 対象となっている土地・建物
- 申し出た人、または申請した人
- 手続きを依頼した専門家の連絡先
書類が見つからない場合は、推測で「完了」とせず、その状況を相談先へ伝えます。土地と建物があるときは、片方だけの書類を見て両方の確認が済んだと思い込まないことも大切です。
2.現在の登記と、相続の話合いの状況をそろえる
売却の見通しを立てる際には、現在の登記事項証明書等で登記名義や対象不動産を確認し、遺言書の有無、遺産分割の話合いがどこまで進んでいるかも整理します。
ここで大切なのは、家族から聞いた内容と、書類で確認できる内容を分けることです。「話合いは済んだと聞いているが、書類はまだ確認していない」という状態も、そのまま伝えて構いません。
必要な登記や書類は、相続の状況によって異なります。自分だけで必要手続きを決めず、法務局や司法書士へ具体的な書類を示して確認しましょう。相続人間の意見の違いなど、法律上の判断が必要な場合は弁護士への相談も検討します。
3.売却の相談と、登記手続きの日程を並べる
手続きの全体像が分からない段階でも、売却について相談したい事情や希望時期は整理できます。相続登記が終わっていないことを伝えたうえで、不動産会社には価格の考え方や販売の進め方、専門家には登記の必要手続きと見通しを確認します。
「登記が未了なら査定や相談も一切できない」という意味ではありません。ただし、売却相談を始められることと、買主様へ引き渡せる準備が整っていることは別です。
希望だけで引渡し日を決めず、必要書類の取得、相続に関する確認、登記の見通しを共有しましょう。契約や引渡しをどの順序・条件で進めるかは、個別事情を踏まえて不動産会社や司法書士等と調整する必要があります。
相談前に作っておきたい、4行のメモ
- 物件:所在地と、土地・建物の資料があるか
- 手続き:相続人申告登記・相続登記のどちらを、どこまで済ませたか
- 話合い:遺言書の有無、相続人間で確認できていること・未確認のこと
- 希望:売却を考える理由と、希望時期
すべて埋めることよりも、分かることと分からないことを分けるのが出発点です。例えば「相続人申告登記は済んでいます。所有権移転の登記は未確認です。年内の売却を希望しています」と伝えると、次の確認を具体的に相談できます。
なお、相続登記の期限、申請方法、税務上の扱いは個別の状況で確認が必要です。この記事だけで手続きが完了したと判断せず、専門家へご確認ください。
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物件の所在地、手続きの進み具合、売却の希望時期をお聞かせください。売却価格の考え方や販売の進め方を、現在の状況に合わせて整理します。登記手続きや法律上の判断は、司法書士・弁護士等への確認が必要です。